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almost no memory

漫画、ミステリー小説、ハロプロ、海外ドラマが好き。外出は本屋とIMAXシアターとハロ現場。

家族の絆、暴力の連鎖『熊と踊れ』

小説 読書

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

不幸な親子関係、暴力の連鎖というところに心が抉られて落ち込んでしまうことを恐れつつ、評判のよさに手に取った。
最後に後押ししてくれたのはどなたかのブログの奈津川サーガみたいという評だ。奈津川サーガ大好きだ。続き早く!
『熊と踊れ』は奈津川サーガの父親と同様にクソ野郎ではあったが、もう少し繊細で人間らしく思った。
兄弟たちを凶行に走らせたのはやっぱり育て方のせいという意味でクソ野郎だ。
しかし愚かな単細胞ながら、不器用かつ間違った愛し方で家族を愛した父親イヴァンを、家族を己のルールで縛りながらそこに愛おしいという気持ち、愛し愛されたいという気持ちを持ち合わせている彼を憎みきれなかった。
こんな風にイヴァンが育ってしまった彼の両親こそがすべての元凶なのではないか。
そう思うと暴力の連鎖を断ち切ることがいかに難しいかを思い知らされる。
長男レオの優秀さが他の方向に向けば、きっと連鎖は断ち切れたであろうに。
もっと救いがないが『心臓を貫かれて』を思い出した。家族の絆、暴力の連鎖、どこからやり直せばこんな事件は起きなかったのか。

海外ミステリで私によくある現象でとにかく本に集中するまですごく時間がかかって、今回もおもしれーーーって夢中になったのは下巻の中盤から。
とにかくずっと、この兄弟の絆が壊れませんようにと祈りながら読んでいた。不幸しか待っていないとわかってはいたから、一層薄目でドキドキ読んでいた。
それが兄弟の絆の崩壊が明確になり、イヴァンがまさかの銀行強盗側で参加する展開に滾った。
どうせ引っ掻き回すだけのクソジョーカー的な役割だと思っていたので。
こんな風な「家族」の物語になるとは思いもよらず、読んで本当に良かったと思った。

そして現実には暴力の連鎖は捕まったこともあるだろうがきっと断ち切られているであろうし、強盗に参加していな弟がいたというのも興味深い。かつ希望があることであった。

心臓を貫かれて〈上〉 (文春文庫)

心臓を貫かれて〈上〉 (文春文庫)

心臓を貫かれて〈下〉 (文春文庫)

心臓を貫かれて〈下〉 (文春文庫)